ポリアクリレートエマルジョンの総合的な性能を高め、その応用範囲を広くするためには、これを改質する必要がある。従来の主要技術は直接にシリコーン変性を行うが、シリコーンは加水分解架橋しやすいため製造されたシリコーンプロピルエマルジョンシリコンの含有量は低く、アクリレートエマルジョン塗料の硬度、耐擦傷及び耐水性などの改善に対する性能は明らかではない。一方、エマルション重合中にSiO 2ゾルを添加して有機無機複合エマルションを合成することで、これらの不足を解決することができる。合成された複合エマルジョンの中で、シリコン含有量は一般的に高く、ナノSiO 2粒子は適切な方法でアクリル酸エステルエマルジョン中に均一に分散し、現在のアクリル酸エステルエマルジョン塗料の硬度が低く、耐摩耗性及び耐熱性が悪いなどを克服することができ、現在のアクリル酸エステルエマルジョン塗料の変性領域の研究の焦点である。
有機ポリマーと無機SiO 2粒子とは、有機シランカップリング剤の作用下で互いに強固な化学結合を形成し、複合構造ポリマーを得る。研究によると、重合とグラフト化が同じ反応系で行われた場合、有機ポリマーは開始剤の作用下で重合を完了した後、直ちにラジカルの作用下でナノSiO 2粒子表面に吸引し、有機ポリマーの官能基と無機ナノ粒子との間に化学結合を形成させ、有機ポリマーを無機粒子表面にグラフト化させる、同時に有機ポリマーは開始剤の作用下で成長を続け、無機シリカゾル表面が有機相で被覆されることを実現する。
有機無機複合エマルジョンの合成過程では、静電吸着作用、吸着層媒体作用またはグラフト反応(化学結合協力用)の3つの作用機構を用いて、有機相と無機相の界面結合を向上させる。異なる乳化重合成分と無機物による静電作用から、重合に関与するモノマーと無機物作用、開始剤と無機物作用の2つに主に分類される。有機ポリマーはそれ自体が電荷を持つため、反対の電荷を持つ無機粒子と静電作用によりポリマー表面に無機粒子を被覆することができる。同時に、静電作用は無機粒子表面を高分子電解質で被覆し、複合ポリマー被覆層を得ることもできる。静電吸着作用によって形成された有機無機複合ポリマーは、反応の制御が容易であり、有機相ポリマーと無機相粒子は選択可能なタイプが多いなどの利点がある。