シリカゾル(Colloidal Silica)は非晶質シリカナノ粒子が水中に分散して形成されたコロイド系であり、無毒、無臭であり、現在大規模な工業化生産を実現できる数少ない、用途の広いナノ材料である。
シリカゾルで土壌を処理すると、耐圧強度と安定性を増大させることができ、路盤の建設に用いることができる(例えば、日本特許文献『公開特許公報.昭62.290.790』、関連文献『複合相転移蓄熱アスファルト路面材料の開発と降温機構』、『ナノシリカゾル硬化黄土の強度特性とその硬化機構』など)。シリカゾルはセメントを処理するために用いられ、耐圧、耐高温、防風化、水硬性が良いなどの特性を与えることができ、セメント基材と共同で使用することにより、セメント基材の全体的な性能、例えば力学性能、耐圧強度、耐久性などを高め、建築物の強度と使用寿命を高めることができ、同時にセメント基材表面の修復、補強と防護に用いることができ、建築の品質を高めることができる。関連応用はまた古代建築、遺跡の保護と修復に広げることができ、関連文献は例えば『シリカゾル/シリカプロピレン複合土遺跡補強剤の合成と応用』、『土遺跡防風化補強材料の研究進展』、『土遺跡補強と保護』などである。
シリカゾルは、(1)シリカゾルが高度な分散性を有するセメント基材強化機能を備えるような性質を有する。シリカゾル中はSiO 2ナノ粒子から構成されているため、その粒子径は5 ~ 100 nm程度であり、より良い分散性を持たせ、液体形態で注入料に添加することで粉体間により良く分散することができ、注入料の性能を向上させることができる。(2)シリカゾルは優れた反応活性を有し、シリカゾルは結合剤としての場合、ゾル−ゲル反応によりキャスティング剤に強度を得る。SiO 2ナノ粒子はSiO 2微粉に比べて比表面積が大きく、表面エネルギーが高く、より低い温度で注入材料中の粒子間の反応速度と反応度を高めることができる。(3)シリカゾルは良好な接着性を有する。シリカゾル中のSiO 2ナノ粒子の粒径が小さく均一であるため、乾燥後ナノ粒子間にシロキサン結合が形成され、特殊なネットワーク状構造が生成され、一定の接着強度が形成される。また、シリカゾルの粘度は小さく、粒子孔に浸透することができ、乾燥後のシリカゾルによるゲル構造に粒子を包み、高い接着強度を発生させることができる。(4)シリカゾルにCa 2+、Mg 2+などの金属イオンを添加すると、金属イオンはSi−O−Si(シロキサン結合)を開き、新しい化学結合Si−O−M(金属)を形成し、それはシロキサン結合よりも優れた特性、例えば結合が強く、結合時間が短い。