シリカゾルを用いてセメント系材料の性能を改善する
セメント基材は現在最も広く使用されている建築材料であるが、セメント基材で建設された建築物は、設計使用年限に達する前にすでに異なる程度の損傷が発生し、巨大な補修、補強、解体再建費用を発生させることが多い。建物の使用寿命を延ばすためには、セメント基材の力学的性能だけでなく、その耐久性にも注目し、セメント基材の性能を効果的に改善できる方法を見つけなければならない。
ケイ酸塩セメントと水との水化反応により一連の水化生成物が生成され、水化生成物に大量に存在するCa(OH)2がセメント基材の耐久性低下の主な原因の1つである。Ca(OH)2含有量の多さと結晶粒の大きさはセメント基材の力学性能と耐久性に重要な影響を与え、セメント基材の性能を高めるには、水和物Ca(OH)2の低減または消費から着手しなければならない。活性ドーパントを添加することにより、セメント基材の孔構造を最適化し、Ca(OH)2結晶粒を微細化し、Ca(OH)2含有量を減少させ、C-S-Hゲル含有量を向上させ、セメント基材の力学性能と耐久性を効果的に改善することができる。
研究によると、ナノSiO 2材料をセメント基材料に添加することで、セメントの水化を促進し、水化生成物C-S-Hゲル間の結合空隙を充填し、セメント石と骨材の界面微細構造を改善し、セメント基材料の力学性能と耐久性を高めることができる。しかし、ナノ粉体材料の比表面積は大きく、ナノ粒子同士の凝集は極めて発生しやすく、凝集が発生すると分散するのは難しく、ナノ粉体材料をセメント基材料に簡単に混ぜるだけでは、ナノ粒子はその役割を果たすのは難しい。シリカゾルは水中におけるナノSiO 2の分散系であり、ナノSiO 2をゾルの方式で導入するコロイド溶液であり、ナノ粒子の分散性を大幅に高めることができ、セメント基材に対するナノ粒子の増強と改質作用をより発揮することができる。
例えば、シリカゾルはセメント硬化スラリーの力学性能を高めることができ、シリカゾルの添加は界面中のCa(OH)2結晶の配向程度を効果的に低下させ、界面中のCa(OH)2結晶の数を減少させ、そのサイズを細分化し、界面通過領域の厚さを減少させることができる、異なる種類のシリカゾルによるセメントスラリーへの影響が異なるため、その最適な配合量も異なる、硬化セメントモルタルの強度と耐久性はシリカゾルの配合量及び養生年数と関係があり、セメントモルタルの早期強度及び耐久性はシリカゾルの配合量に従って徐々に増強される、シリカゾルを組み込んだ後、セメントスラリー中のCa(OH)2結晶は(0001)結晶面に沿って二次元的に成長しやすく、格子欠陥が明らかに減少した、ナノSiO 2粉体に比べて、シリカゾルのセメントスラリーへの堆積及びレオロジー作用はより顕著であり、セメントの水化プロセスをより迅速に加速することができ、セメント基材の力学性能をより良く改善することができる。
シリカゾルは無機材料に属し、無臭、無味、無化学腐食の性質を有する。シリカゾルは水中におけるナノSiO 2の分散系であり、ゾル方式でナノSiO 2を導入することでナノ粒子の分散性を大幅に高めることができるコロイド溶液である。シリカゾルは火山灰効果と充填効果を有し、ケイ酸塩セメントの水和物Ca(OH)2と反応し、Ca(OH)2を消費すると同時に強度の大きいC−S−Hゲルを生成し、セメント基材の力学性能と耐久性を高めることができる。